軟らかいものよりも、硬いものを食べる時のほうがよく噛む事になります。
つまり、咀嚼の回数が増えるわけですが、これが口に中を健康に保つ事に大きな役割りを果たします。
まず、噛む回数が多いと唾液がたくさん分泌されます。唾液は通常、大人で1日に1ℓ〜1,5ℓも分泌されます。口の中の汚れを洗浄してくれます。
薬で唾液が出にくい状態にした人たちと、そうでない人たちに丸2日間、歯磨きをやめてもらって、歯垢の蓄積量を測った所、唾液の分泌量の少ない人たちの歯垢蓄積量は、そうでない人たちの1,7倍多かったという報告もあります。
また、唾液にはリゾチームや、ラクトフェリンなどの抗菌物質が含まれており、免疫の役割りを果たしてくれますので、唾液には歯周病や口臭を予防する働きもあるのです。
さらに、唾液にはカルシュウムが溶け出した歯の再石灰化を促して、初期の虫歯を修復する作用もあります。ですから、たくさん噛んで唾液をたくさん分泌させる事はとても重要なのです。
また、噛むという行為は歯を支える歯槽骨や骨を取り巻く歯茎、そして顎の筋肉へに刺激となり、歯周組織全体を鍛えて丈夫にする効果を持っています。
軟らかいもの中心のあまり噛まない食生活続けると、十分な刺激が伝わらずに、骨や筋肉は次第にやせ、歯を支える力が弱まってますます噛む力が衰えてしまいます。また、筋肉が衰えると、嚥下機能に影響が出る事もあります。
そもそも軟らかい食べ物は、口に残りやすく、歯の表面に付着して細菌等が繁殖しやすくなるのです。
しかし、硬い物をたくさん噛んで摩擦等の生理的刺激を受ける事で、歯茎の血行がよくなり、歯周病菌への抵抗力を維持する事ができます。
このように、毎日の食生活に、硬いものや食物繊維が多い野菜など、たくさん噛めるものを食べる事は、虫歯や歯周病を予防したり、骨や筋肉の機能を保つなど、口の健康を守るために、とても大切なことなのです。